てるてる坊主の王子様

21世紀の空に浮かぶ王国、てるてる王国。

13世紀に誕生したといわれるその王国。

その王国は空に浮いている。

てるてる族という者達が住んでいた。

てるてる族とは!?

手足があり人間とほぼ同じ。

体は長い布で全身を覆い隠している。

基本的には空中を飛び回る。

一番の特徴は、国王は高価な靴を履くこと。

歩く事が無く、傷が付かないからである。

あとは天気を自由に出来る事。

雨に弱いから。

そんなてるてる族のお話し。

かつては地上に人間と共に暮らしていた。

だが地上は人間同士による国土の奪い合う姿・・・

その影響はてるてる族にまで及び虐殺される日々・・・

そんな13世紀の中頃

一部のてるてる族支持派の人間と

てるてる族は空にのぼった。

布と毛糸と紙を硬度にして、

空に飛ばす技術を持つ彼らは空に王国を作った。

そう、てるてる王国を。

てるてる国王1世の誕生である。

国王1世の名前はテル・クラテス。

国民の前でテル・クラテスは靴を履いた。

そして争いの無い幸せを得たはずだった・・・

15世紀になり、人間が国王の座を奪おうとする。

あわてる国王5世になったテル・トーヴェン・・・

人間の企み!?

高度な技術を持つてるてる族を操り

王国を人間だけで支配し、

てるてる族を奴隷にしようとする事だった。

さらに高度な文明を持つ技術で

地上を支配しようとまで考えていた。

そこで彼らは卑劣な行為を。

人間のニテルスに布を被せて

長い独特のてるてる衣装を着せて体を隠し

てるてる族全ての目を欺いた。

テル・トーヴェンも

王妃ですら気が付かずに王位を奪った。

それが15世紀末の出来事。

偽国王6世が誕生。

名前をテル・ジョボビッチと名乗った。

しかし、悲劇はまだまだここから・・・

てるてる王国は「国王」と「王妃」からなる。

そう、偽者の国王テル・ジョボビッチは

王妃、テル・ヘレンと結婚。

その翌年には子供が誕生。

名前をテル・シュタインと名づけた。

だが・・・足が無かった。

しかし今更人間とは言えないテル・ジョボビッチ。

ところがそのショックでテル・ジョボビッチは

気が狂い国民を虐殺せよと親衛隊に命令をだす。

自ら犯した罪を・・・

自らの嘘で招いた罪を・・・

自分を「殺せ」と罰っするかのように。

不審を抱いた国王親衛隊は・・・

テル・ジョボビッチの食事に毒を盛り暗殺。

テル・ジョボビッチは死んだ。

そこで初めて国王6世が人間だった事に気付く。

しかし今更国民にそんな事は言えない。

そこで王妃は考え国民の前で発表した。

「てるてる国王6世、テル・ジョボビッチは病気で死んだ」

と・・・

だがしかし子供は成長するにつれ人間の得意とした

剣術、学問、芸術などめきめきと才能を発揮した。

もちろんてるてる族の血を受け継ぐ者。

空も飛べるから問題は無い。

かのように思えたが・・・

てるてる族の王位継承のとき

国王1世から受け継がれ続ける靴を履く

王位継承の儀式を国民の前でやらねばならない。

それは足の無い王子の悲劇・・・

王妃は考えに考える。

しかも子供の足が無いのを知っているのは

王妃と死んだ国王テル・ジョボビッチ。

それと医者の3人のみ。

医者は何も言わぬ。

祖父にあたる、元国王テル・トーヴェンは何も知らない。

だが国王6世の死んだ今、

王位継承の儀式で靴を履かせるのは

この何も知らない祖父である

テル・トーヴェンなのである。

てるてる国王の王位が空席の今・・・

てるてる族の国王になれるのは13歳が目前のこの子供。

そしてその儀式は13歳になる年の最後の日。

いよいよ足の無い王子様が誕生する時。

国民が広場に集まった。

新国王になる瞬間を見るために!!!!!!

全てを知る王妃。

何も知らないテル・トーヴェン。

王妃は嘆く・・・

自分の無力さに。

そしていよいよ王位継承の儀式が行われる。

「さぁこの靴を履き、てるてる王国の国王7世になるのだ」

・・・

「僕は足が無いから靴、はけないんだ・・・」

・・・

慌てて足元から衣装をまくるテル・トーヴェン。

・・・

「な、な、なんと言う事じゃ・・・」

驚愕の事実を知るテル・トーヴェン・・・

王妃のほうを見て一言

「人間との混血なのか・・・」

静かに泣きながらうなずく王妃・・・

この王妃もまた悲劇なのだ。

まさか自分が産んだ子が人間との混血と言う事。

それを知ってても誰にも言えなかった事。

王族の皆が固まる。

その表情を見てざわめく広場。

するとてるてる国王になったばかりのテル・シュタインは一言

「こんな王国なくなっちゃえばいいんだ」

国王7世になるこのテル・シュタインは

全て知っていたのだ。

自分が人間とてるてる族の混血だという事を!!

また人間がてるてる族を支配しようとしてる事も!!

その天気を自由にする技術があることも!!

布、紙、毛糸で何でもできる技術で

地上支配を企む人間に利用されていた事も・・・

だからついに・・・

てるてる族の最大の力を見せ付けた。

ついにやってしまった!!

ついに天気を操りやってしまった・・・

台風・竜巻・雷

を一斉にてるてる王国にやってこさせた!!

てるてる王国最後の国王7世、テル・シュタイン。

13歳の彼が最後に見た景色・・・

吹き荒れる風で飛ばされる人間の姿

それと・・・

びちょびちょに濡れて溶けていくてるてる族の姿

それに目の前がぼやけて死ぬ間際に見た光景・・・

とは!?

母であるテル・ヘレンの悲しそうな笑顔

祖父のテル・トーヴェンのなげく姿

「これでよかったんだよね!?・・・僕、間違ってないよね。」

そして現在・・・てるてる王国はどこかに浮かんでいる。

かつてのてるてる王国にてるてる族は居ない。

また、てるてる族の血を受け継ぐ者も居ない。

てるてる坊主・・・

現代になっては雨の降らないお守り。

その背景にはこんなてるてる族の悲しい現実。

「雨に濡れないようにつってあげてね」

ダレガイッタノカ

THE END



てるてる王国 国王一覧表


1世 テル・クラテス

2世 テル・アームストロング

3世 テル・レオテルレイ

4世 テル・ベロス

5世 テル・トーヴェン

6世 テル・ジョボビッチ(人間のニテルス)

7世 テル・シュタイン

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